【気まぐれ?病気?】猫がフードを食べてくれない!

猫がフードを食べてくれない!食欲不振になった理由は気まぐれ?病気?

猫が急にフードを食べなくなり、食欲不振になったら飼い主さんは心配になりますよね。フードが悪いのか、わがままなのか、それとも病気なのかと思い悩むのではないでしょうか。

食欲不振には、病気のほかに猫の好みや習性なども関わってきます。考えられる理由と対策について解説します。

猫の食欲に影響すること

猫は食べ物の味だけでなく、においも重視します。他にも食べ物の舌触りや噛んだ感触、食べ物の温度などにもこだわるようです。猫が気まぐれと言われるのも、こういったこだわりから来るのかもしれません。

また栄養素についても敏感に感じ取る傾向があります。例えば「香りは好みだが、栄養が不足しているフード」は最初のうちは食べたものの途中でやめて、「それほど好みではない香りだが、栄養的に優れたフード」を食べはじめたという研究報告があります。

猫の食べ物の好みは、猫の社会化期といわれる生後9週齢ごろに食べたもので決まると考えらえています。例えば野良猫として育った場合は、母猫がとってきた食べ物の味をいつまでも覚えていることもあるようです。

食べ物だけでなく、食事環境や食器も猫の食欲に大きく関わります。フードを食べないときは、病気がないかを確認し、原因を探って改善していきましょう。

猫がご飯を食べない「考えられる理由」

猫がご飯を食べなくなる理由はさまざま。いくつかの理由が重なっていることもあります。

本当に飽きてしまった

新しもの好きの猫も多くいるため、実際にずっと食べていたフードに飽きてしまう猫もいるようです。

また、なかなかフードを食べなかったときに、おいしいウェットフードをかけてもらった経験から「あのウェットフードが出てくるまで待つ」と粘る猫もいます。

新しいフードが好きではない

猫は食物の味だけでなく香り、食感、のど越しにこだわりがあります。どれかが気に入らないと、最初は好奇心から食べても、途中からまったく口を付けなくなることもあるようです。

飼い主さんの熱い視線が苦手

「新しいフード、絶対食べてほしい」と食事中に期待を込めた目で飼い主さんに見つめられることを嫌がる猫もいます。このタイプの猫は「たくさん食べてね」「おいしいでしょ」などと声をかけられることもプレッシャーになるようです。

フードに対するネガティブな体験

「あるフードを食べたあと嘔吐した」など嫌な体験が、フードと結びついてしまい食べるのを拒むことがあります。フードに苦い薬を入れられたことも、嫌な体験として残りやすいようです。

体調不良のときに偶然においを嗅いだことで、そのフードが嫌いになることもあります。

食事環境のストレス

猫は落ち着いた場所でご飯を食べたがります。人がバタバタ歩き回る、小さな子供が騒ぐ、他の犬や猫と取り合いになる環境では食欲が低下しがちです。

においにも敏感なため、食事場所とトイレが近いことも食欲不振の大きな要因になります。小さなケージで、トイレも寝床も食事場所も近い場合は注意が必要です。食事場所が寒すぎる暑すぎるなど、気温も食欲に影響することがあります。

食器が嫌い

洗っていない汚れたままの食器やニオイがする食器は、食欲低下につながりやすい要因です。食器が深すぎて、ひげが当たることを嫌がる猫は多くいます。フードを前脚でかきだして食べようとしている場合は、食器に問題があるかもしれません。

高齢になった

高齢になると運動量や活動量が減るため、食事量も減りがちです。食事の場所が寝床から遠くて歩くのが大変、床に食器が置いてあって首を下げて食べるのがつらいことも食欲不振を招きます。

また年齢とともに嗅覚が衰え、フードの香りを感じにくくなることも原因です。高齢猫では「認知機能不全症候群」と呼ばれる「認知症」でも食欲が落ちることもあります。

発情している

発情した猫は異性に夢中になり、食事をあまりとらなくなります。

避妊をしていないメス猫が独特の声で泣き叫ぶ、やたらと甘えてくるという場合は発情しているかもしれません。去勢をしていないオス猫は、メス猫の発情行動とフェロモンに影響されて発情し、マーキング行動などをするようになります。

メス猫の発情は日照時間が長くなると生じるため、春や夏に増えます。太陽の光だけでなく電灯の明かりでも生じるので、毎日明るい家の中で過ごす猫は季節を問わず発情しやすくなります。

病気による食欲不振も注意

猫の食欲不振は病気など体調不良も考慮する必要があります。感染症や腎臓病、下部尿路疾患、口内炎、異物誤飲でも食欲が低下します。猫は体調不良を隠す習性があるため、飼い主さんの観察が重要です。

食欲不振と次のような症状が見られたら、動物病院を早めに受診しましょう。

  • 嘔吐や下痢
  • 血尿や頻尿
  • 尿が出ていない
  • なんとなく元気がない
  • 狭くて暗い場所から出てこない
  • 歯が痛い、口内炎ができているなどで口周囲を触られることを嫌がる

病気以外の食欲不振の対策

食事の環境を見直す

食事場所を、静かで落ち着いた場所に変更しましょう。テレビ、洗濯機など家電の音にも注意が必要です。室温にも気を配りましょう。

多頭飼いで一斉に食べさせていた場合は、クレートに入れるなどして別々に食べさせます。犬など他の動物がちょっかいを出さないように注意しましょう。

食器を変える

猫のひげが当たりにくい平らな食器に変更しましょう。さらに高さのある猫専用の食器にするか、台の上に食器を乗せれば首を下げる必要がなくなり、高齢猫も食べやすくなります。

プラスチック製の食器は軽くて値段も安めですが、食べるたびに動きやすいことが欠点です。また細かい傷がつきやすく、雑菌が繁殖して臭いが出ることがあります。ほどよい重さがあり、汚れを落としやすい陶器製がおすすめです。

フードの与え方を変えてみる

温める

猫は狩った直後の体温が残った獲物を食べるため、ほんのり温かい食べ物を好みます。フードを軽く温めてみましょう。温めると香りが立ち、嗅覚が衰えてきた高齢猫の食欲を刺激してくれることもメリットです。

手から与えてみる

食事中飼い主さんにじっと見つめられることを嫌がる猫がいる一方、飼い主さんの手からもらうことがきっかけで食べだす猫もいます。愛猫の性格によっては試してみるのも良いでしょう。

小分けにして与える

いつでも食べられるように置き餌をしていた場合は、10分程度時間が経ったら片付けるようにします。小動物を1日に何度も狩っては食べるという猫の習性を利用して、少量を1日数回に分けて与えてみましょう。自動給餌器で調節することもおすすめの方法です。

改善しても効果がなかったら

いろいろ気を遣って努力をしても食べない、またはほんの少ししか食べない場合は、他に症状がなくても動物病院を受診しましょう。

食べない状況が続くと、肝臓に脂肪が過剰に溜まり肝臓の機能が低下する「肝リピドーシス」という病気になる恐れがあります。脂肪肝とも呼ばれる猫特有の病気です。

大人の猫で丸1日、子猫の場合は半日食べない状況が続いたら動物病院に問い合わせて獣医の指示に従ってください。大人の猫は、36時間フードも水も取らなければ受診したほうがいいでしょう。生後1~2ヶ月程度の子猫は、8時間経っても食べなければ受診します。

まとめ

猫の食欲不振の理由は、病気以外ではフードが好みに合わない、食事環境や食器に不満がある、高齢になったなどさまざまなことが考えられます。フードや食事環境、食器などを見直してみましょう。それでも改善されない場合は、特に症状がなくても動物病院を受診してください。

参考資料

一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム 「猫の病気 食欲不振」

犬と猫の問題行動の予防と対応 動物病院ができる上手な飼い主指導 水越美奈監修 緑書房

シンポジウム1 食欲と疾患 犬と猫の嗜好性 北中 卓 日本ペット栄養学会誌 2017 年 20 巻 Suppl 号 p. suppl_15-suppl_16

「犬と猫の食欲と行動学の関わり」荒田 明香 日本ペット栄養学会誌 2018 年 21 巻 2 号 p. 106-108

犬と猫の栄養学 奈良なぎさ著 緑書房

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この記事を書いた人
伊藤 悦子(いとうえつこ)
麻布大学獣医学部環境畜産学科(現・動物応用科学科)出身。ペット栄養管理士・家畜人工授精師(牛)資格所持。動物医療発明研究会会員。2016年よりライターとして活動中。2019年よりNPO法人「NEWSつくば」記者。犬は5匹、猫は6匹の他にモルモットやセキセイインコ、文鳥などの飼育経験があります。現在は17歳になる茶トラの猫「りんごちゃん」を飼っています。