【あなたの飼い猫は大丈夫?】猫の肥満・糖尿病とフードの関連性

肥満の猫に潜む糖尿病リスク!飼い主ができるフード対策とは

猫の肥満は、糖尿病を始め心臓病、関節炎など病気の原因になるリスクがあります。特に糖尿病は治療に時間がかかり、猫にとっても飼い主さんにとっても大きな負担がかかります。

大切な猫が糖尿病にかからないためにも、まずはフードによる肥満対策を行うことが大切です。この記事では猫の肥満によるリスク、フードによる肥満対策について解説します。

猫の肥満に潜む糖尿病へのリスク

日本で飼育されている猫のおよそ1/3が肥満という報告もあります。「ぽっちゃりしている方がかわいい」「癒される」と思うかもしれませんが、その「ぽっちゃり」が猫の健康を脅かしているかもしれません。

猫の肥満のリスク

糖尿病、心臓病、高脂血症、尿路結石症などの病気の原因を誘発、悪化させる恐れがあります。また重すぎる体重は関節やじん帯、筋肉にも大きな負担がかかり、関節炎や椎間板ヘルニアの原因に。

他にも「麻酔が効きづらくなる」「手術がしにくい」という弊害が出ることもあります。これらの病気やリスクはどれも深刻ですが、なかでも糖尿病は合併症も多く、治療にも時間がかかる病気です。

糖尿病とは

すい臓から分泌されるインスリンの不足や働きが低下することで、血液中に糖が増えてしまう病気です。

ブドウ糖は体の大切なエネルギー源であり、脳や各臓器に必要なものです。しかし血液中に糖が増えすぎて高血糖になると、エネルギーとして使うことができなくなります。その結果免疫力低下や神経障害などを引き起こし、昏睡や死亡にいたることもある病気です。

初期の症状は、水をやたらと飲む、尿の回数や量が増える、ちゃんとフードを食べているのに体重が減ってくるなどが見られます。

肥満の原因は?

糖尿病の原因になりやすい肥満。太る原因は食事と運動不足が大きいようです。

フードやおやつの食べすぎ

運動量より摂取カロリーが高くなることが原因です。欲しがるままに与えてしまった結果、食べすぎにつながってしまいます。

フードがライフステージに合っていない

成長期である子猫のエネルギー要求量に応えるため、子猫用フードは高タンパク質、高カロリーとなっています。このため成猫に子猫用のフードを与えていると、栄養過多で肥満になってしまいます。逆に子猫に成猫用フードを与えると、成長期に十分な栄養を摂取できないので注意が必要です。

運動不足

運動不足も大きな原因です。太ると動くのが面倒になり、また太るという悪循環になってしまいます。

避妊去勢手術

避妊や去勢手術によるホルモンバランスの変化で、食欲が増したり代謝が低下したりして太ることがあります。

加齢

高齢になり代謝が落ちたり、運動量が減ったりすることも太る原因です。

うちの猫は肥満?

愛猫が肥満かどうかを正確に判断するには動物病院の受診が必要ですが、まずは飼い主さんがチェックしてみましょう。

体重を測定する

目安として、1歳のときの体重がその猫の理想と言われています。ゆっくり成長するメインクーンなど大きな猫は当てはまらないことがあるので気を付けてください。

家の体重計に猫だけ乗せることは困難です。ベッドこと体重計に乗せるか、飼い主さんが猫を抱いて体重計に乗って量りましょう。その値から飼い主さんの体重を引けば猫の体重がわかります。デジタル体重計であれば細かく測定できる上、容器の重さを差し引いて計量する「風袋引き機能」がついているものもありますのでおすすめです。

BCS「ボディコンディションスコア」を確認する

BCS(ボディコンディションスコア)とは、猫が肥満かやせ過ぎかを判断する指標となるもので、見た目と体に触れることで評価します。BCSはのちに解説する理想体重の計算にも必要です。

愛猫は下の図のどこに入るかチェックしてみましょう。ただしつこく触って嫌がられないように注意してください。

理想はBCS3です。肋骨に触れることができるが見ることはできない、上から見ると肋骨の後ろにくびれがある、脇腹にヒダがあり、体脂肪率は約20%です。

BCS4はやや肥満。脂肪が厚いが肋骨には触れられる、脇腹にあるひだが垂れ下がって歩くと揺れることに気付くレベルで、体脂肪率はだいたい40%程度です。

BCS5になると「肥満」になってしまいます。肋骨や背骨が脂肪に厚くおおわれて、肋骨になかなか触れられない、くびれがない、脇腹のひだが歩くとよく揺れるようになる状態です。体脂肪率は40%を超えています。

状況によってはBCS5を「肥満」「高度の肥満」「超肥満」と3段階にさらに分けることもあります。

環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」より画像引用・加工

http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide_1808/pdf/full.pdf

理想体重を計算

愛猫の理想体重を計算してみましょう。計算方法は次の通りです。

現在の体重×(100%-現在の体脂肪率)÷0.8=適正体重

BCS4「やや肥満」では、体脂肪が約30%で除脂肪率は70%、BCS5「肥満」の場合、体脂肪率が約40%で除脂肪率は60%になります。もっと太っている猫では、体脂肪率が50%を超えることもあります。

※計算例

現在の体重6kg、体脂肪率40%のBCS5猫の適正体重は何kg?

6×(100-40)÷0.8=6×0.6(60%)÷0.8=4.5㎏

およそ4.5㎏が適正体重となります。

フードで肥満と糖尿病対策

「やや肥満」「肥満」とわかったら、糖尿病を防ぐためにも対策が必要です。ダイエットを始める際は必ず獣医師の指示に従うことが必要ですが、飼い主さんができる対策や注意点を解説します。

フードの種類をチェック

猫のライフステージに合ったフードを適量与えましょう。全年齢対応と表示されているキャットフードは何歳になっても与えられるのでおすすめです。

食物繊維が含まれるフードは満腹感を得やすいので、サツマイモなど良質な食物繊維源が配合されているフードがいいでしょう。

また血糖値の上昇をコントロールできる高たんぱく・高脂肪フードを選ぶことも大切です。動物病院で療法食が処方された場合は指示に従ってください。

フードの量を確認

フードをカップできちんと計って与えていますか?ついやりがちなのが、猫が欲しがるままお皿にどんどん入れてしまうこと。これでは食べすぎになる可能性が高くなります。パッケージの表示を確認し、適切な量を与えるようにしましょう。

おやつは総カロリーの10~20%

猫が喜ぶとおやつをたくさん与えたくなりますよね。しかしおやつの食べすぎも肥満の原因です。1日に与える食事量の10~20%になるように調節しましょう。バットなどに1日分のフードをあけ、見た目で10~20%を確認すると量がわかりやすいです。

食事抜きは行わない

太っているからといって断食させたり、食事を抜いたりしないでください。突然フードを減らすのも大変危険です。

猫の絶食は、「肝リピドーシス」という脂肪が肝臓にたまりすぎる病気になる恐れがあります。肝リピドーシスは嘔吐や下痢、黄疸などの症状が出て、命にかかわることがある病気です。

与え方の工夫

フードを早食いしてしまう猫もいます。早食いの癖がつくと満腹感を感じづらくなり、常にご飯をねだるようになってしまいます。

元々猫は小鳥やねずみなどを1日に何回も狩って食べる動物。早食いを防止するには、朝晩2回フードを与えている場合、4〜5回に分けて与えましょう。留守がちの家庭では自動給餌器の利用が便利です。

また同居猫や犬がいる場合、獲物の横取りをさせまいとして早く食べ切ろうとします。落ち着いて食べられるように食事環境を見直すことも大切です。

他にもおすすめなのは転がすとフードが出てくるおもちゃ。「一気に食べることを防ぐ」「体を動かすことにつながる」「狩りの気分を味わうことができる」というメリットがあります。部屋のあちこちに置いてみてください。

家族みんなで協力を

猫の肥満対策は家族の協力が不可欠。一人でも「おやつをもっとあげたい」「かわいいから肥満でもいい」という人がいるとなかなか体重も減りません。

愛猫のためにも、肥満や糖尿病のリスクについてよく話し合って協力しましょう。共通の認識を得るため、かかりつけの獣医師に説明してもらうのもいいですね。

まとめ

猫の肥満は、さまざまな病気の原因になる恐れがあります。特に糖尿病にかかるリスクが高まるので注意が必要です。愛猫の肥満度を確認し、かかりつけの動物病院を受診しましょう。

フードの種類や量を確認し、分けて与える、おやつを与えすぎないなど対策も必要です。愛猫の健康のためにもフードで肥満対策を行いましょう。

参考資料

犬と猫の栄養学 奈良なぎさ著 緑書房

小動物の臨床栄養学 第5版 岩崎利郎 辻本元監訳 株式会社インターズー

環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」

「肥満が犬や猫にもたらす弊害」石岡 克己 ペット栄養学会誌 2011 年 14 巻 Suppl 号 p. Suppl_59-Suppl_60 

「肥満猫に対する糖尿病療法食が血清グルコースおよびインスリン濃度に与える影響について」 上田 香織他 ペット栄養学会誌2012 年 15 巻 Suppl 号 p. Suppl_38-Suppl_39

犬と猫の肥満-2021年度アップデート-石岡 克己 ペット栄養学会誌 2021 年 24 巻 1 号 p. 46-56

5 Unusual Cat Eating Habits | PetMD

犬と猫の問題行動の予防と対応 動物病院ができる上手な飼い主指導 水越美奈監修 緑書房

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この記事を書いた人
伊藤 悦子(いとうえつこ)
麻布大学獣医学部環境畜産学科(現・動物応用科学科)出身。ペット栄養管理士・家畜人工授精師(牛)資格所持。動物医療発明研究会会員。2016年よりライターとして活動中。2019年よりNPO法人「NEWSつくば」記者。犬は5匹、猫は6匹の他にモルモットやセキセイインコ、文鳥などの飼育経験があります。現在は17歳になる茶トラの猫「りんごちゃん」を飼っています。